――― まずは、ふくしまの酒との関りを教えてください!
東京にいる頃はビールやハイボールが好きで、日本酒を飲む機会はなかったんです。日本酒に親しむようになったのは、喜多方市に帰ってきてから。お店で地酒を扱っているので、最初は勉強のために飲んでいたんですけど、ふくしまの個性豊かな地酒を味わううちに「私はこんなタイプのお酒が好きなんだな」とか「このお酒は、こんなおつまみに合うんだな」という発見が楽しみになりました。
――― ふくしまの酒の好きなところは?
浜通り、中通り、会津と、それぞれに気候や風土が異なるので、それがお酒の特徴としてはっきり現れているところですね。各地域の「水」と「米」と「地域」の良さが、お酒にも伝わっていると思います。それに、つくり手の方たちの情熱が感じられるところも魅力です。各酒蔵が腕を競い合いながらも、「自分の蔵だけじゃなく、ふくしまの酒を全体として高めていこう」という気概が感じられるんです。
――― 特にお好きな銘柄があれば教えてください!
喜多の華酒造場さんの『純米吟醸 喜多の華☆9 五百万石』が好きです。この銘柄は、四代目の里英さんが造りの現場を任されてから、毎年、星が増えていくので、通称『星シリーズ』と呼ばれています。最初に甘みがあって、でもスッキリしていて、グイグイ飲めてしまうお酒です。もうひとつは『奈良萬 純米大吟醸』。華やかで旨み香りもしっかり感じられます。こちらはみんなで飲む時やお客様と飲む時にピッタリ。
――― 外呑み派? うち呑み派? おすすめの店を教えて!
私は外呑み派ですね。おすすめは、何人か集まって楽しく飲むなら「お料理 舟場α」です。個性あふれる喜多方の地酒を味わうことができますし、料理も美味しいんです。一人で飲むなら「醸造酒バー 二代目 Kogiku」ですね。ここも地酒の種類が豊富なので「奈良萬のひやおろしが入ったから飲んで帰ろう」っていう感じで、勉強も兼ねてよく立ち寄るお店です。
――― 好きなアテやペアリングは?
好きなおつまみは、会津地方の郷土料理「にしんの山椒漬」。うちの店でも販売しているんですけど、ニシンを山椒が入った酢で漬けたものです。細かく切って、ちょっとずつ口に含んで、日本酒とのマリアージュを楽しみます。馬刺しもいいですね。馬刺しは会津ではスーパーでも売っている身近なもので、さっぱりとしていて柔らかく、とても美味しいんです。辛子味噌をつけて食べると日本酒が進みます。
――― 最後に、ふくしまの酒へ愛のメッセージを!
個性豊かな喜多方の地酒を、全国のお客様に楽しんでもらおうと、甲斐商店では3年前から「KaiEri頒布会」を始めました。喜多方の8蔵から、ここでしか買えない特別でぜいたくなお酒とおつまみを、4か月間、毎月お届けします。「芳醇・淡麗・旨口」が自慢のふくしまの酒を、ぜひ楽しんでみてください。