燗酒は、体にやさしい
髙崎さんによると、燗酒の大きな魅力は体へのやさしさ。温めることで体内でのアルコール分解が進みやすくなり、二日酔いになる心配もほとんどないという。
「お酒を飲むと、体温と同じくらいの温度でアルコール分解が始まるそうです。つまり、冷酒に比べて燗酒のほうが分解されやすく、翌朝の目覚めもすっきりします」
もう一つは味覚。人間の舌は冷たいものほど味を感じづらく、30〜40度の温度帯から味を美味しく感じやすくなる。日本酒も燗酒にすることで味わいが増し、料理とのペアリングの幅が広がるという。
「そもそも冷酒を楽しむ文化は、冷蔵技術が発達した現代のもの。本来、日本酒は温めて飲むものでした。さらにいうと昔の米は、身近な有機物を循環させて栽培する無農薬栽培が当然でした。そうした米は糠までおいしいんです。だから自然農法など無農薬栽培米で造られた酒は、糠を削る必要があまりなく、いやな雑味がまったくありません。温めることでそのナチュラルなおいしさがふくらみます」