福島県オフィシャルサイト【ふくしまの酒】

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ふくしまの酒トリビア

「全国新酒鑑評会」の金賞銘柄数で、
史上最多の8回連続日本一を記録したふくしまの酒。
「日本酒の神様」の異名をもち、
ふくしまの酒をネクストレベルへ
持ち上げた立役者でもある
福島県ハイテクプラザの鈴木賢二さんに、
わたくし、ふくねこが特別インタビュー。
ふくしまの酒がおいしい秘密を、
ナイショで聞いちゃったにゃ!

鈴木賢二さん

福島県ハイテクプラザ会津若松技術支援センター副所長。福島県三春町生まれ。岩手大学農学部卒業。1985年に県採用、約30年にわたり酒造りの技術指導に携わり、「日本酒の神様」とも称される。

鈴木賢二さん

福島県ハイテクプラザ会津若松技術支援センター副所長。福島県三春町生まれ。岩手大学農学部卒業。1985年に県採用、約30年にわたり酒造りの技術指導に携わり、「日本酒の神様」とも称される。

ふくしまの酒 NEW WAVE
ふくしまの酒 NEW WAVE

福島の日本酒を言葉で表すと、「芳醇(ほうじゅん)」「淡麗(たんれい)」「旨口(うまくち)」となります。
香りが高く軽快な飲み口、きめ細かくきれいですっきりとした味わいがあり、米本来のもつ甘味が感じられる……これが、私たちが目標とする酒の味です。
日本酒の原料となる酒米といえば山田錦が全国的にも有名ですが、福島県では独自の酒米や酵母の開発に力を入れており、福島県オリジナル酒造好適米「夢の香(かおり)」や「福乃香(ふくのか)」、そして吟醸酒を仕込むのにふさわしい酵母「うつくしま夢酵母」も生まれました。
ふくしまの酒は、どんな食材や料理とのペアリングも可能にする「懐の深さ」が特徴といえます。「お酒は好きだけど、日本酒はちょっと苦手」という人にこそ、ふくしまの酒を飲んでもらいたい。きっと日本酒のイメージが変わりますよ。

福島オリジナルの酒造適合米「夢の香」

10年の歳月をかけて開発された、福島オリジナルの酒造適合米「夢の香」。吸水性がよく、醪(もろみ)で溶けやすい、軟質米だ(Photo / 福島県農業総合センター提供)

福島オリジナルの酒造適合米「夢の香」

バイオテクノロジーを駆使して開発された福島オリジナルの酵母「F7-01酵母(うつくしま夢酵母)」。バナナ・メロン系のフルーティーな香りを造り出す

ふくしまの酒 NEW WAVE
ふくしまの酒 NEW WAVE

1990年、「全国新酒鑑評会」で福島県は金賞受賞蔵がゼロでした。このことに加え、南部(岩手県)や越後(新潟県)といった杜氏産地から来られる杜氏さん方の高齢化が進み、将来的に酒造りができなくなるのでは…という不安を払しょくするために、有能な地元杜氏を育成する機関として、1992年、「清酒アカデミー職業能力開発校」を設立しました。
当時、福島の酒は普通酒が中心でしたが、清酒アカデミーでは、酒造り全般について学びながら、鑑評会での金賞受賞も視野に入れ、吟醸酒造りのためのノウハウを、座学から醸造実習まで、3年間のカリキュラムを通して徹底的に指導することになりました。
その結果、全国新酒鑑評会では金賞銘柄数で史上最多の8回連続日本一を達成し、福島の酒は黄金期を迎えるまでに躍進したのです。
カギとなったのは、「福島流吟醸酒製造マニュアル」でした。酒造りのポイントとなる麹の製法や醪(もろみ)の管理方法だけでなく、発酵室や蒸米のさらし場につく「蔵クセ」と呼ぶ蔵固有の臭気を除去することなども明記し、これを毎年更新しています。
それまで杜氏の経験や勘で行っていた一連の作業をマニュアル化することで、経験の少ない若い杜氏でも良質の酒造りが行えるようなり、福島の酒のレベルは飛躍的に向上したのです。

福島オリジナルの酒造適合米「夢の香」

清酒アカデミー職業能力開発校の授業の様子(写真は利き酒実習)。3年間学ぶと「酒造士」の資格を得られる(Photo / 清酒アカデミー提供)

福島オリジナルの酒造適合米「夢の香」

福島流吟醸酒製造マニュアル。わずかA4紙2枚だが、金賞獲得のノウハウがコンパクトに詰め込まれている

ふくしまの酒 NEW WAVE
ふくしまの酒 NEW WAVE

福島県の面積は全国3位を誇り、広大で多様性に富んでいます。また、エリアごとに気候風土も異なるため、食や文化もバラエティ豊かです。その地域の食文化や味の嗜好によって、好まれる酒の傾向もおのずと異なるため、個性的な味わいの酒が地域ごとにたくさん生まれたのです。
福島県の夏の暑さは稲作にふさわしく、冬の寒さは雑菌の繁殖を抑える澄み切った空気を生み出します。福島県は、日本酒造りに最適な気候風土といえるでしょう。
さらに、福島県の酒造りのもう一つの特徴は、蔵同士の交流が盛んなところです。鑑評会での金賞受賞蔵を増やす目的で設立された「高品質清酒研究会」、通称「金とり会」では、本来、競合相手の蔵同士が、おたがいの技術やノウハウを持ち寄って、分析や研究を行いながら切磋琢磨しています。全国的に見ても、蔵同士の交流が盛んな地域は、お酒がどんどんおいしくなっていく傾向がありますね。
ぜひ、おのおの個性が異なる蔵の酒を、思い思いの料理と組み合わせて楽しんでください!

福島オリジナルの酒造適合米「夢の香」

福島県のシンボルのひとつ、磐梯山と稲穂。福島は浜通り、中通り、会津という3つのエリアで、各々の気候風土を生かした多様な酒造りが行われている(Photo / pixta)

Text / Shin Sakurai Photo / Atsushi Ishihara