わたなべしゅぞうほんてん
雪小町 大吟醸 美山錦造り
福島の気候風土を知り尽くし、地域の特性を生かす酒造り
震災後の福島の酒の救世主、といっても過言ではないだろう。渡辺酒造本店社長の渡辺康広さんは、新潟大学農学部で土壌学を専攻、酒造好適米の栽培も手がけていた。そして、被災。放射線化学も学んでいたことから、風評被害を最小限にとどめるべく、すぐに行動を開始。安全性を発信する一方で、延べ二千人以上もの人々に安全な米づくりを講演し、土壌改良を指導してきた。
そんな渡辺さんが手がける酒は「雪小町」。りんごのようにフルーティーで、清らかな酒だ。「地元の米や水で、いかに付加価値のある酒を造り出すか。常にそれを追求してきました」と渡辺さん。実際に原料米の九十五%は地元産を使用している。仕込み水には、郡山の水と阿武隈山系水を使用。軟水、中硬水の使い分けから、キレの良い辛口酒のスタイルを生みだす。
「酒造りでもっとも大事なのは設計図です。あとは目指す味にひたすら向かっていくだけ」。そう語る渡辺さんがこだわっているのは温度管理。醪も十五度以下の低温でじっくり育むときめ細かな酒質に。「雪小町」が女性好みの酒と言われるゆえんである。
有限会社 渡辺酒造本店