とよくにしゅぞう
一歩己
南部杜氏の伝統を継承し、若手蔵人が新たな挑戦
流鏑馬(やぶさめ)の里として知られる古殿町。福島県西部の会津坂下町に同名の酒蔵があるため「東豊国(あずまとよくに)」とも呼ばれている。伝統を守りつつ、日本酒の新たな可能性を切り拓こうと、チャレンジし続けている酒蔵だ。
1840年に創業。南部杜氏が伝える古典醸法に基づいて酒造りに励んできた「東豊国 大吟醸」は銘酒の誉れが高い。全国新酒鑑評会連続金賞、南部杜氏自醸清酒鑑評会で二期連続首席を獲得するなど、その実力は折り紙付きだ。
「古殿の自然の中で生まれ、そこに集う人に育まれ、愛される」。同蔵の酒造りの理念だ。“ 古殿の地酒”として、純米酒「超(ちょう)」や本醸造「然(ぜん)」などは、地元の左党をうならせる逸品だ。
九代目の矢内賢征代表は、2011年から若手の蔵人とともに新ブランドづくりをスタートさせた。その名は「一歩己(いぶき)」。「己の歩が大事であるという信念を名前に込めた」と命名の由来を話す。矢内代表は「『守るべきもの』と『変えるべきもの』を明確にして酒造りに取り組んでいく」と意気込む。
豊国酒造 合資会社