げんばほんてん
あぶくま 大吟醸
世間を驚かせた「あぶくま」の第2章始まる
古くから「奥州鶴」の酒蔵として知られてきた玄葉本店が転機を迎えたのは、代表取締役の玄葉祐次郎さんが東京から戻ったことによる。大手商社マンとして世界で活躍してきた玄葉さんだが、酒造りの知識は皆無。杜氏の下で学ぶだけでは追いつかず、国の酒類総合研究所、福島県清酒アカデミーで学び、技術と理論を習得した。
「醸造学などを専門に学んだ人たちとのブランクを埋めるのに必死でした。でも、実践では戸惑うことも。そんなときに手を差し伸べてくれたのが、県内の同業の同世代たちです」。既に自ら造りに入り実践していた同世代の情熱家たちにも教えを乞い、ときには熱く意見を交わし、そうして既にあった「あぶくま」ブランドの味わいを変えていった。最初に醸した大吟醸が、全国新酒鑑評会でいきなり金賞を受賞。その二年後に自身が杜氏となってからも、五年連続で金賞受賞するなど、酒蔵としての実績を着実に積み上げている。
「無知だったからこそ成しえたことかもしれません。鑑評会の金賞は設定された枠内にたまたまボールを投げられただけのこと。これからが本番だと思っています」と控えめながらも熱い玄葉さん。「あぶくま」進化論はまだスタートしたばかりである。
有限会社 玄葉本店