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NEW WAVE 02 TOJI 女子!

花春酒造 柏木純子

“絶対にこの仕事をしたい”
──酒造りへの情熱に駆られて

花春酒造

柏木純子(取締役製造部長・杜氏)

1993年、花春酒造に入社。日本酒の研究室に配属される。酒造りへの情熱をもち続け、結婚、出産を経て、入社10年目にして念願の製造部門に配属。2007年、杜氏就任。2016年に退社し鶴乃江酒造に入る。2018年、花春酒造に戻り、再び杜氏となる。

初めて入った蔵で
酒造りの現場に魅了された

かつて多くの酒蔵は、“女人禁制”とされた。1993年、柏木純子さんが入社した当時の花春酒造も、蔵人は全員男性。秋から冬にかけての酒造りシーズンになると、秋田県の山内杜氏のもと、季節雇用の蔵人たちが近隣地域から集まり、酒造りがおこなわれていた。
大学で食品学を学んだ柏木さんが、入社後すぐに配属されたのが日本酒の研究室。分析用の“もろみ”のサンプルをもらうため、毎朝、蔵に行くことが仕事のひとつだった。
「私はそれまで日本酒をまったく飲んだことがなかったのですが、蔵に入るとたちまちその雰囲気に魅了されました。朝早くから蔵で作業をしている人たちがとても楽しそうで、魅力的だったからです。その様子を見ているだけでワクワクし、私も“絶対にこの仕事をしたい!”と思うようになりました」

天性の利き酒能力と情熱で理想の酒を醸す

「酒造りをしたい」――。日本酒が大好きになった柏木さんは、そんな情熱をひそかに抱き続け、製造部門に異動を願い出た。しかし、女性は酒造りに関われないという理由であっけなく却下。上司が替わり、ようやく念願叶って酒造りに携われることになったのは、入社10年目のことだった。
2003年に入学した「清酒アカデミー」(福島県清酒アカデミー職業能力開発校)の利き酒テストでは、1年次ですでに正答率9割を超え、2、3年とも満点。この記録は未だ破られておらず、天性の利き酒能力の高さで周囲をアッと驚かせた。2007年には杜氏に就任した。
2016年、花春酒造は酒類製造事業を新会社に譲渡。この頃、柏木さんは2年半ほど鶴乃江酒造に移るが、花春酒造の新時代を築くべく現在の新井田傳社長に呼び戻され、2018年より再び花春酒造の杜氏に就任。フルーティーで旨みたっぷりの「結芽の奏 純米大吟醸」、少量仕込みですべて手造りの「天宮」など、その秀でた酒質が注目されている。
「私に酒造りの楽しさを教えてくださったのが、かつて花春酒造の蔵人だった、鶴乃江酒造の坂井義正杜氏です。その温かい人柄を感じさせてくれる、やわらかく、やさしく、きれいな味わいの酒を理想として追求しています」

洗米作業。タイマーで秒単位の浸水時間を計り、狙った吸水歩合を実現する。「酒造りはこの洗米、吸水といった原料処理がものすごく重要だと思っています。最後の最後まで影響が及びます」と柏木さん

左から「天宮」、「花春 山田錦 純米大吟醸」、「結芽の奏 純米大吟醸」。2018年に柏木さんが蔵に戻って立ち上げた「天宮」は、オール手造りの新銘柄。500㎏の小さな仕込みで限定流通
*「天宮」は、提携酒販店のみでの取り扱いとなっており、直売店では販売しておりません。詳しくはお問い合わせください

CHANGE_最大の転機は?

2002年、入社10年目で酒造りに携われることになったとき。
「酒造りをしたい」という思いを上司が理解してくれました。

PERSON_元気をくれる人は?

お客さん。「おいしかった」「頑張ってね」という声をかけていただくと、
とても嬉しくて、次のパワーにつながります。

FUTURE_あなたの未来像は?

私自身が先輩たちから教えていただいたように、
次世代の後輩たちに酒造りの魅力を伝えたいと思います。
「飲んだ人が笑顔になれるような酒を造ろう」という情熱をもって、
挑んでほしいです。

名称
花春酒造
創業
1718年
住所
会津若松市神指町大字中四合字小見前24-1
電話
0242-22-0022
営業時間
8:00〜17:00(日曜、祝日休)
その他
酒蔵見学無料。要予約
公式サイトへ
Text / Kyoko Kato Photo / Atsushi Ishihara