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NEW WAVE 02 TOJI 女子!

喜多の華酒造場 星 里英

強くしなやかに、
酒造りに向かい続ける

星里英(蔵元杜氏)

喜多の華酒造場4代目蔵元。喜多の華酒造場の三人姉妹の長女として生まれる。 大学卒業後、印刷会社勤務。2012年、東京農業大学醸造学科短期大学部(当時) 卒業。2013年、喜多の華酒造場に入社。

26歳、会社を辞めて
酒造りを学び始める

ふわっとやわらかく、ほどよいミネラル感がある飯豊山系の軟水。この仕込み水で醸される喜多の華酒造場の酒は、まろやかさとともに、すっきりとした端正な表情をもつ。料理を味わいつつ一杯、そしてもう一杯......。4代目蔵元杜氏の星里英さんは、そんな食中酒としてゆっくりと飲み続けられる酒質を追求している。喜多の華酒造場は、1919年創業。その三人姉妹の長女として生まれたが、家業を継ぐことは考えず、大学卒業後は東京の印刷会社に就職した。
「父に頼まれて、試飲イベントの手伝いに行くことはありました。でも、当時は自分の蔵の酒のこともほとんど知らなくて、“酵母は何を使っているの?”といったお客さんの質問にまったく答えられなかったんです。そこから、酒の勉強をしたいと考えるようになりました」2010年、26歳で東京農業大学醸造学科の短期大学部(当時)に入学。在学中、地元が東日本大震災に見舞われたものの、勉強を続け、2013年に帰郷した。

すっきり辛口と華やかな甘口の2本柱

実家の蔵に入って1年目。福島県の「清酒アカデミー」(清酒アカデミー職業能力開発校)でも学び始めた里英さんに、3代目蔵元杜氏の父はいきなり1.2トンタンクを1本任せた。実家の蔵の設備は初めて触れるものばかり。頭のなかで考えている酒造りとはまるで違ったと里英さんは振り返る。
「ええっ!?と驚きました。目玉焼き1個しか作ったことがないのに、いきなり今すぐに100個作れといわれたようなもので(笑)。でも、どうせやるなら、自分らしい酒を造ろうと思いました」そこで誕生したのが、華やかな香りと甘くボリュームのある「喜多の華純米吟醸無濾過」。従来の銘柄「蔵太鼓」は辛口酒として人気があったため、対極的な新しい看板商品の誕生となった。
「父は“なんでもやってみよう”という精神の持ち主なんです。1年目から1本タンクを任されたときは必死でしたが、大きな経験になりました。震災、コロナ禍と困難が続きますが、自分で決めた道ですから強くしなやかに、倒れても起き上がり、酒造りを続けたいと思います」

木造建築の蔵で、年間300石の酒を仕込む。「酒造りは微生物の働きによるものですから、とくに清潔を意識しています」と里英さん

左から「星自慢 特別純米無濾過生原酒」「喜多の華 純米吟醸無濾過」「蔵太鼓 辛口純米+10」「きたのはな 大吟醸」「きたのはな 純米大吟醸」。飯豊山系の伏流水のまろやかさを共通して感じる

CHANGE_最大の転機は?

2010年、東京農業大学醸造学科短期大学部に社会人入学したこと。
醸造への熱意をもつ同期生たちから刺激を受けました。

PERSON_元気をくれる人は?

同じ酒造りに取り組む人たち。

FUTURE_あなたの未来像は?

何度も困難にぶつかってもあきらめず、酒造りに向かい続ける。
そんな強くしなやかな人でありたいです。

名称
喜多の華酒造場
創業
1919年
住所
福島県喜多方市前田4924
電話
0241-22-0268
営業時間
9:00 〜 17:00
その他
酒蔵見学「酒塾」は10:00 〜 16:00。無料、要予約。
公式サイトへ
Text / Kyoko Kato Photo / Atsushi Ishihara